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墓地使用権の法的性質

改葬 代行 行政書士伊東事務所(東京都立川市)

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墓地使用権の法的性質

墓地の使用権は、永代にわたって、お墓を建立する土地を使用できる権利という意味で永代使用権と呼ばれています。

墓地の使用権は、墓地所有者と使用者との間の契約により成立するものですから、その内容は当事者間の契約によって決まりますが、どんな内容でもよいかというとそうではなく、墓地使用権(永代使用権)の性質を考慮した契約内容である必要があります。

この墓地使用権(永代使用権)はどのような性質の権利であるのか、裁判例を参考にしてみます。

墓地使用権(永代使用権)の永久的性質

判例は次の見解に分かれています。

  • (A) 慣習法上の物権(山形地裁判決)
  • (B) 特殊な債権(仙台高裁判決)
  • (C) 永代借地権(津地裁判決)

いずれも、墓地使用権(永代使用権)を固定的・永久的性質を有するものととらえています。

したがって、お寺が定める墓地管理規則の条項においてもこの永久性に留意する必要があります。

お寺の墓地使用規則の作成は、私的自治・法律行為自由の原則から団体の規約として基本的に有効ですが、他方において、慣習法上物権説・特殊債権説において説かれているような墓地使用権(永代使用権)の本質に抵触しない範囲内において認められるということになります(物権法定主義に準ずる)。

慣習法上の物権説

(A)山形地裁判決(昭和39年2月26日)「慣習法上の物権説」

墓地使用権は、物権法定主義及び登記の対抗要件主義から物権そのものとは断定できないが、墓地の使用者は墓地の経営者に対し墳墓所有のため墓地を使用すべく請求しうる関係において墓地を使用しているのではなく、当該墓地に墳墓を設置して墓地を支配する関係において使用を続けており、かつ、他日その使用を終了したならば返還する関係において使用しているのではないから、債権的特性を具有するとも言えない。

そうだとすると、墓地使用権の本質はその権利の特性から決するべきである。

(ァ) 墓地使用権は民法施行前より慣習法的に成立していたことは公知の事実である。

(ィ) 墓地使用権は墳墓所有のための権利であり、その墳墓は官庁の許可によって特設された墓地内においてのみ設定されるものであることから容易に他に移動させられない施設であり、しかもその施設は特殊の標示物によって象徴される関係上、墓地使用権に固定性を認めるのが合目的的である。

(ゥ) 墳墓の所有権は相続人が断絶して無縁とならない限り永久的に承継され、かつ死者に対する宗教的礼拝の対象となるべき特殊の財産であるから、その墳墓を安置する土地の使用権には永久性が生ずると解される。

以上のことから、墓地使用権とは他人の土地を固定的、永久的かつ支配的に使用する物権的性質をそなえる権利であると観念される。

民法施行法も民法施行前から慣習法上生成した物権が存在したことを肯定していることからみて、それが物権法定主義の根拠を排除する性質のものでなく、かつ、ある種の公示方法を有すれば例外的に慣習法による物権の成立が認められて然るべきものと考えられる。

学説も慣習法上の物権の成立を肯定するのが有力である上に、墓地使用権の付着する墓地所有権は、墓地設定の許可処分が廃止されない限り負担付の所有権として存続すること等から、墓地使用権を慣習法上の物権としても物権法定主義の秩序を混乱させるとは予想できず、しかも墓地使用権の存在は墳墓の外部的施設によって表徴されている関係上権利の存在が公示されていると言えるものである。 したがって、墓地使用権を 慣習法上の物権と認めることが相当である。

特殊な債権説

(B)仙台高裁判決(昭和39年11月16日)「特殊な債権説」

紛争事例の墓地使用関係は、存続期間を定めない使用貸借契約と推認され、墓地の使用貸借においては、特段の事実がない限り、一般に民法599条(借主の死亡による終了)の適用が排除され、祭祀承継者は使用貸借に基づく墓地使用権を承継する。

すなわち、墳墓の存置を目的とする墓地の使用貸借は、特に返還時期の定めがない限り、墳墓が存置されている間は契約に定めた目的による使用収益が終わらないものと解され、貸主は民法594条第3項(借主の使用収益用法違反)等一定の解除事由がない限り一方的に使用貸借契約を解除しえない。

永代借地権説

(C)津地裁判決(昭和38年6月21日)「永代借地権説」

我が国においては国民の墓地は歴史的に古くから寺院の墓地のみであったのであり、その寺院の檀家となることによって寺院墓地内の墳地を所有することができたのであるから、右墳墓を所有することにより右墳墓の存する墳墓地を使用する権利(以下「墓地使用権」という)は結局寺院との檀信徒加人契約とでもいうべき契約に由来するであろう。

しかしながらかくして取得した墓地使用権は墳墓が有する容易に他に移動できないという性質(官庁の許可を得た墓地内にのみ設定されねばならない)すなわち固定性の要求からして、また我が国においては墳墓が先祖代々の墳墓と観念されていること(民法第897条は墳墓について相続人の承継を一応おさえ、その所有権は慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべきものが承継する旨規定している)また国民の宗教生活上墳墓は尊厳性を持つべきことを要請されていること(刑法にこれを保障する規定がある)などの諸点からして墳墓は必然的に固定的且つ永久的性質を有すべきものとして観念されているのである。

さればこのような固定性、永久性を有すべき墳墓を所有することにより墳墓地を使用することを内容とする墓地使用権も、たとえその設定契約が前記のように檀家加入契約という契約に由来するとしても、右墳墓と同様に永久性を持つべきものと考える。そして当初の設定契約もかかる性質を有するものとして設定されておるものと言えよう。

これを象徴する言葉として永代借地権なる語が存するが、墓地使用権が法上いかなる権利に属するかどうかは別として墓地使用権の本来的に有する性質を現わしていると言えよう。 寺院墓地はかくしていわば永代に亘って墳墓地の使用を許さなければならないという負担を設定契約の当初から背負っているのである。