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NPO法人設立

行政書士伊東事務所(東京都立川市)

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法人の管理運営のために必要な知識として、ここでは役員報酬の支払い制限について説明しています。

役員報酬と職員給料

NPO法人も事業収入から役員報酬や職員給料を支払いますが、NPOに特有の制限があります。

NPOは、人の働きによって活動が成り立ちます。活動を発展させるには、給料を支払って職員を雇用することが必要になります。 この場合、社員である会員(正会員)を職員として雇用してももちろんかまいません。

また、役員(理事・監事)には、役員報酬を支払うことができます。 法人は役員の業務執行によって運営されますのでその業務の対価となるのが役員報酬です。

ところで、理事の仕事は何でしょうか。

理事は、法人の業務執行の一切を行います。

具体的には、事業活動の統括、財産の管理、社員総会の開催・運営、理事会の開催・運営、対外的な説明責任(アカウンタビリティ)の実行、中長期的ビジョンの策定、その他法令順守(コンプライアンス)、所轄庁への届出義務の履行、法務局・税務署・税務事務所・社会保険事務所・労働基準監督署等への届出・申告・申請の義務の履行とその職務範囲は広いです。

なお、法人と役員との関係は民法の委任類似の関係と考えられますので、理事は善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負います。

役員報酬の支払いは、以上のような労働に対する対価の支払いであって、利益の配当ではありません。しかし役員報酬については、その受取る者の人数に「3分の1」の制限がもうけられているのです。

報酬(役員報酬)の制限

報酬(役員報酬)についての「3分の1」の人数制限とは。

報酬は、理事・監事の職務執行に対して支払われるものですが、NPO法人では役員総数(理事・監事)の3分の1以下の人数の者のみが報酬を受取ることができます。

たとえば、理事3名監事1名で役員合計人数4名の法人ですと、役員報酬を受取ることができるのはその中の1名のみです。

理事と監事の合計人数が6名だとしますとその3分の1である2名の者が役員報酬を受取ることができることになります。

全役員(理事・監事)が役員報酬を受取ることは、役員報酬に名を借りて、利益配当を行う結果になりかねないので「3分の1」という制限をもうけたのです。

報酬とは「役員報酬」のことですので、役員が同時にNPO法人の職員を兼務している場合に、その職員の仕事に対して受取る「給料」は「役員報酬」ではありません。

理事長・副理事長といった「長」のついた役員も、職員としての仕事に従事している場合には、その仕事の対価として「職員給料」を受取ることができます。 ただ、法人税法上は、「長」のついた役員の受取る給料は役員報酬とされてしまいます(原則としてです)。

監事は、NPO法人の職員を兼ねることができない。

監事については「監事は理事又は特定非営利活動法人の職員を兼ねてはならない」との規定があります。したがって、監事は、NPO法人の職員を兼ねることができません。

理事長や理事は、職員としての仕事で給料を受取ることができますが、監事は職員との兼務ができないので、職員の仕事をして「給料」を受取ることができません(役員報酬ならよい)。

理事3名監事1名で役員が4名の法人ですと、役員報酬を受取ることができるのはその中の1名のみです。したがって、役員の全員が労働の対価を得ようとするなら、役員報酬は監事に支払って、理事長と理事は職員給料を受取るような仕事の分担が必要になります。